KG-RCSP合同ゼミ(旧 小川・三浦合同ゼミ)2018冬

2016年から半期に1度,3回にわたり開催してきた小川・三浦合同ゼミを,今回からKG-RCSP合同ゼミとして規模を拡大して開催することになりました.異なる学部の複数のゼミが集い,メンバーの研究発表と外部ゲストの講演を交えた,「多様性と類似性の相乗効果」(Miura & Hida, 2004)の場となることを狙っています.聴講参加はどなたでも歓迎します.

日時:2018年3月8日(木)13時~18時(予定)

場所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパスF号館104教室


第1部 13:00-15:00 ゼミメンバーによる研究発表

志水裕美(社会学部社会心理学専攻分野・清水ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

社会的経済地位と怒り表出のメカニズム

本研究は怒り表出のメカニズムを明らかにすることを目的とした。特に社会的経済地位に注目し、心理的特権意識の媒介効果を調べた。従属変数に4つの怒り表出方法(感情的攻撃、嫌味、表情・口調、いつもどおり)を設定した。電車などで怒りを表出する公的条件と友人や家族に対して怒りを表出する私的条件に分けて分析を行った。結果、両条件において社会的経済地位が高いと心理特権が媒介して感情的攻撃と嫌味表出をする傾向があることが明らかになった。さらに公的条件において心理特権と怒りの程度に負の相関があったことから、心理特権が怒り表出の正当性評価を高めている可能性が考えられる。

北川茉里奈(社会学部社会心理学専攻分野・稲増ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

「メディアの中の他者の意見 -なぜ報道番組においてコメンテーター・エグゼンプラーが重宝されるのか-」

人々はメディアから直接態度に働きかけを受けるわけではなく、対人的影響に因る部分が大きいとされてきた。それでは、メディアに出演しながら自身の意見を述べるコメンテーターや、報道番組に挿入される街の声(エグゼンプラー)はどのように捉えられているのか。Web調査の結果、芸能人コメンテーターは身近な他者と同様に捉えられており、また政治知識の少ない人は芸能人・専門家を問わずコメンテーターに対して好意的であった。さらに実験を行ったところ、人々が生活の中で情報を得られない間接経験争点において、コメンテーターやエグゼンプラーが意見形成に影響を及ぼすという可能性は示唆されたが、結果は統計的に有意ではなかった。メディアの影響か他者の影響かということが安易に二分できないこの時代において、両者の効果を再検討する必要があるといえる。

清水千景(文学部総合心理科学科・小川ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

「色および情動による時間知覚への影響」

本研究では、時間知覚に対する色の効果が情動によって変化するかを明らかにすることを目的とした。実験1では、男性のみが赤色刺激の呈示時間を青色刺激よりも長く評価することを示した先行研究(Shibasaki & Masataka, 2014)の再検討を行った。その結果、先行研究とは逆に、青色刺激に対して赤色刺激よりも呈示時間を長く判断することが示された。この研究間の矛盾が刺激に対する情動反応によるものではないかと考え、音楽による情動操作を行い時間知覚に対する色の影響を検討する実験2を実施した。その結果、時間判断への色及び情動の影響は認められなかったが、特定の呈示時間でのみポジティブ曲条件では赤色刺激、ネガティブ曲条件では青色刺激に対する反応時間に影響が認められた。この結果は、色および情動が時間判断に関わる何らかの処理に影響を与える可能性を示唆している。


Intermission 30分

鳥山理恵さん(東京大学大学院医学系研究科)

学生をチアアップするような何らかのお話.


第2部 15:20~17:20+α

高橋康介さん(中京大学心理学部) 40分

「顔・パレイドリア・文化」

ヒトにとって顔は見慣れた刺激である。大部分のヒトは顔を認識するという行為においてエキスパートである。極めて微細な顔情報の変化を読み取り、顔の背後にある個の有り様を認識する。一方、パレイドリア現象では明らかに顔ではないモノやパターンが、どれだけ頭では否定しようとしても、否応なしに顔に見えてしまう。ただそう見えるだけでなく、その背後に個など存在しないにも関わらず、見えてしまった顔が、個と対峙する者として我々を規定し、行動に影響する。パレイドリア現象とは何なのか。いくつかの実験研究、文化比較研究の紹介を通して、「過剰に意味を創り出す認知」という観点から顔とパレイドリアについて考察(及び妄想)したい。

島田将喜さん(帝京科学大学アニマルサイエンス学科) 40分

「遊び・規則性・規則」

餌付けされた嵐山のニホンザル(Macaca fuscata)のコドモの「枝引きずり遊び」は、「1つの物だけをターゲットにし、物を持つ方が逃げ手の役割になる」という相互行為の規則性を繰り返し含む(Shimada 2006; 島田印刷中)。発表者はこの規則性は、コドモたちが以下の少なくとも2つのアプリオリではありえない「規則に従う」ことの結果である、と主張する:①遊んでいるまさにその時間・空間においては他でもなく今伴われている物体だけをターゲットとする、②物体の所有者が逃げ手の役割を担う。これらの規則はその性質から、ヒュームのコンヴェンションの概念に相当すると考えられる。嵐山のように餌付けによる「ゆとり」のある生息環境は、コドモたちが社会的遊びの相互行為の中で、コンヴェンションを生成することを可能にする。

高橋・島田ご両人たちのコラボレーション

島田将喜・高橋康介・大石高典・錢琨
「フィールドワーカーから見た心理学実験と実験心理学者から見たフィールドワーク」

我々は、文化人類学と実験心理学のコラボレーションにより、さまざまな地域・文化における顔や身体表現の通文化性と文化依存性を観察、調査、実験を通して探求することを目指している。この中で、方法論や学問的背景がもたらす異分野間のコラボレーションの副産物や問題点が徐々に見えてきた。例えば実験心理学者がフィールドに入ったときの振る舞いを文化人類学者の視点で観察すること、「調査」「実験」がどこまで外部と切り離されたものと捉えるかという認識の違い、などである。本発表では、フィールドワーカーと実験心理学者が同行して調査地(タンザニア)で行った研究の実体験、実験そのものの成果や失敗を踏まえ、今後のコラボレーションへの提言を行う。

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