日本発達心理学会第30回大会シンポジウム

2019年3月19日に開催された日本発達心理学会第30回大会(早稲田大学戸山キャンパス)で下記シンポジウムに登壇しました.たくさんの方にご来場いただき,ありがとうございました.このような場を与えて下さった日本発達心理学会および大会準備委員会の皆様,共催をお認め下さった関連諸学会各位にも厚く御礼申し上げます.

話題提供者全員が当日資料を公開しております.ご関心をお持ち下さる方は,以下リンク先からダウンロードをお願いいたします.

今そこにある危機:再現可能性問題をめぐる現状と展望(心理学関連7団体共催シンポジウム)

企画:友永 雅己(京都大学霊長類研究所)
企画:森口 佑介(京都大学大学院教育学研究科)
企画:三浦 麻子#(関西学院大学文学部・大阪大学大学院基礎工学研究科)
企画:山田 祐樹#(九州大学基幹教育院)
企画:原田 悦子#(筑波大学人間系)
司会:友永 雅己(京都大学霊長類研究所)

話題提供者:三浦 麻子#(関西学院大学文学部・大阪大学大学院基礎工学研究科)
 心理学における再現可能性問題ー概説ー ※当日資料※

話題提供者:森口 佑介(京都大学大学院教育学研究科)
 発達心理学における再現性問題 ※当日資料※

話題提供者:岡田 謙介#(東京大学教育学研究科)
 再現性問題における統計学的論点と,その解決に向けて ※当日資料※

話題提供者:佐々木 恭志郎#(早稲田大学理工学術院)
 再現性問題解決への希望:プレレジ実録体験記 ※当日資料※


[企画主旨]

心理学をめぐる昨今の状況は私たちの想像を超えたスピードで変化しつつある。特に,ここ10年来,欧米の心理学者たち,とくに社会心理学者たちを中心に噴出した「再現可能性問題」は,2015年のScience誌に掲載された追試実験の成功率40%未満という衝撃的なレポートによって,心理学界の内外に飛び火したといってよい。この衝撃が内包していたいくつかの問題,p-ハッキング,HARKing(Hypothesizing After Results Known),Cherry Pickingなどは,「問題のある研究実践(Questionable Research Practices,QRPs)」として広く認識されるようになり,これまで「うまいやり方」と思われてきたものが実は「ギリギリアウト」なのだということが研究者の間で共有されていった。

この再現可能性問題は,社会心理学に限ったことではない。Science論文ののち,他の心理学領域のみならず,ほぼすべて実証科学領域においてこの問題が指摘され,真剣に議論されるようになってきた。発達心理学も例外ではない。最近話題となった新生児模倣や誤った信念課題の再現可能性に関する議論の応酬,Many Babiesプロジェクトなどが,すぐに想起できる。

結果の再現性に問題があるということは,当該の学問の信頼性にかかわる問題でもある。私たち心理学者自身がこの問題に真摯に取り組む必要がある。このことを広く日本発達心理学会会員に周知することを目的として,本シンポジウムを日本発達心理学会および関連諸学会・研究会との共催という形で開催する。

[共催]

日本基礎心理学会・日本社会心理学会・日本動物心理学会・日本認知心理学会・日本グループ・ダイナミックス学会・日本心理学会 サイエンスコミュニケーション研究会

[後援]

科学研究費(挑戦的萌芽研究)15K13122「社会心理学研究の再現可能性検証のための日本拠点構築」・科学研究費補助金(基盤研究(S))15H05709「野生の認知科学:こころの進化とその多様性の解明のための比較認知科学的アプローチ」・関西学院大学社会心理学研究センター・日本基礎心理学会 若手研究者特別委員会・日本認知心理学会 心理学の信頼性研究部会