第2回 犬山認知行動研究会議(ICBM-2)開催案内

第2回 犬山認知行動研究会議(ICBM-2)を開催します.

日時:2019年1月5日(土),6日(日)
会場:日本モンキーセンター(愛知県犬山市)
参加費無料,予約不要
主催:犬山認知行動研究会議実行委員会

Webサイト:https://sites.google.com/view/icbm-2/

犬山認知行動研究会議(ICBM;犬会)は,ヒトを中心とする動物の認知や行動にかかわる研究者が集う,情報・意見交換の場です.
2015年度まで開催されていた犬山比較社会認知シンポジウム(ICS2)を出発点とし,昨年度から現在のスタイルに模様替えしました.
第2回となる今回は,社会心理学を含む26件の研究発表が予定されています.大変刺激的な場となること請け合いです.新しい年を刺激的な議論で始めませんか.

問い合わせ先
友永雅己(京都大学霊長類研究所) tomonaga.masaki.4m@kyoto-u.ac.jp
三浦麻子(関西学院大学文学部・大阪大学大学院基礎工学研究科) asarin@kwansei.ac.jp

論文公刊

下記の論文が掲載された『心理学評論』61巻2号が刊行されました。

中村早希・三浦麻子
説得の2過程モデルの複数源泉・複数方向状況への適用
心理学評論, 61(2), 157-168.

日常生活場面では,たとえば選挙や商品購買などの際に,複数の説得的メッセージの発信源から複数方向の説得を受けることがよくある。本稿では,こうした場面における受け手の態度変容プロセスの解明に向けて,説得の2過程モデルをベースにしつつ,この状況の特徴を踏まえて議論する。説得の2過程モデル(たとえば,Chaiken ( 1980 ) やChen and Chaiken ( 1999 ) のヒューリスティック・システマティックモデルやPetty and Cacioppo ( 1986a ) の精査可能性モデル)は,単一源泉・単一方向の説得場面を想定しているため,複数源泉・複数方向の説得状況にそのまま適用することはできない。そこで,こうした状況に特有のプロセスとして,複数の説得的メッセージを同時に考慮することに注目し,これが受け手の態度変容に及ぼす影響に関する仮説モデルを,具体的な実証実験デザインとその予測を交えて提示する。これらの議論に基づいて,複数源泉・複数方向の説得状況に注目した態度変容プロセスの解明に取り組むことの意義と今後の展望を論じる。

キーワード:複数源泉・複数方向の説得状況,説得の2過程モデル,複数の説得の同時考慮,説得の順序効果,加算・バイアス効果,減弱効果

論文PDFはこちらからダウンロードしていただけます。詳細については第1著者の中村までお問い合わせ下さい。

論文掲載決定

下記の論文が『社会心理学研究』34巻3号(2019年3月公刊予定)に掲載されることが決まりました。

中村早希・三浦麻子 (2019; in press).
2者から異なる方向に説得される状況での被説得者の認知資源と態度変容プロセスの関連の検討. 社会心理学研究, 34(3).

要約
本研究は、複数源泉・複数方向の説得状況における態度変容プロセスを解明すべく、その状況の最小構成単位である2者が異なる方向に説得する状況を設定し、ヒューリスティック-システマティックモデル (HSM) による態度変容プロセスの説明可能性を検証するものである。具体的には、説得的メッセージを提示する際の受け手の認知資源を制限することによって、ヒューリスティック処理あるいはシステマティック処理のいずれかがなされやすい状況を設定し、外集団成員の方が内集団成員よりも論拠が強いメッセージを提示した場合にそのどちらの説得に応じるかを測定した。認知資源を二重課題の実施(研究1)やメッセージの提示時間(研究2)によって制限した場合、そうでない場合と比較して、内集団成員の唱導方向へ、つまり好ましいヒューリスティック手がかりを持つ方向への態度が形成された。この結果は、複数源泉・複数方向の根幹のプロセスをHSMで説明できることを示している。

内容にご関心のある方は第1著者の中村早希までご連絡下さい。

招待講演「人を対象とする行動学研究における再現性問題」

2018年9月15日に電気通信大学で行われた情報処理学会エンタテインメント・コンピューティング(EC)2018で「人を対象とする行動学研究における再現性問題」と題した招待講演を行いました.当日の資料はここから閲覧・ダウンロード可能です.お招き下さり,どうもありがとうございました.

概要

ありとあらゆる科学(を標榜する学問)にとって,ある知見が信頼に足るものかどうかを確認するもっとも有力な手段は,一度得られた実験結果についてそれが再現できるかどうかを検証することである.こうした科学の再現性問題は,2014年初頭以来世間を騒がせていた「STAP細胞問題」によって,決して望ましい形だったとは言えないが,一般にも広く知られることとなった.心理学においても,これと同じ時期に,研究の信頼性の著しい低下につながるような,あるいはそれを疑わせるような出来事が相次いで起きたが,その原因の少なからぬ部分は,研究者たちが再現性検証の試みを軽視してきたことにあるとされた.本講演では,心理学のような人を対象とした行動学研究において,研究プロセスそのものに内在するものも含めた再現性を低からしめる問題としてどんなものがあるかを述べ,それらを解消するために現に行われている取り組みについて紹介する.

 

「心理学の再現可能性」プロジェクトページをアップデートしました

2015年度以来,科学研究費(挑戦的萌芽)を得て遂行している「社会心理学研究の再現可能性検証のための日本拠点構築」を中心とする「心理学の再現可能性」プロジェクトのページを大幅にアップデートし,これまでの成果がよりわかりやすくなるようにしました.どうぞご覧下さい.

REPLICABILITY IN PSYCHOLOGICAL SCIENCE (心理学の再現可能性)

 

論文掲載決定

以下の論文が日本心理学会の刊行する英文誌『Japanese Psychological Research』に掲載されることが決まりました.

Asako Miura and Tetsuro Kobayashi
Survey satisficing biases the estimation of moderation effects

Abstract: Survey satisficing in online data collection biases the estimation of treatment effects in many ways. Extending the findings of a previous study, which demonstrated that satisficing biased the estimation of main treatment effects, this study also shows that satisficing distorts the estimation of moderation effects. Targeting Japanese adults’ attitudes toward food, this study tests how the effect of country of production (Japan vs. China) is moderated by preexisting ethnocentric attitudes. The results show that while nonsatisficers predictably adjust their attitude toward food based on their preexisting ethnocentric attitude, satisficers stick to their initial stereotypical response. That is, the theoretically predicted moderation effect was observed among nonsatisficers, but not among satisficers, which indicates that satisficing biases not only the estimation of a treatment effect but also that of a moderation effect.

Key words: satisficing, online survey data, moderation effect, ethnocentrism, stereotypical judgment.

刊行に先立って早期公開がなされました.どなたでも無料でご覧いただけます+PDFダウンロードが可能です.本論文は,日本社会心理学会第58回大会で口頭発表した研究のうち,顕在的態度測定による結果を再分析したものです.大会で貴重なご示唆を下さった石黒格先生(日本女子大学)に心から感謝します.

『心理学評論』第61巻1号・特集「統計革命 Make Statistics Great Again」

このたび7月13日に『心理学評論』最新号として特集号「統計革命 Make Statistics Great Again」が刊行されました.通常,本誌のPDF公開は1年後@J-STAGEなのですが,本特集号については各著者の責任においてPDFをどなたでもお読み/入手いただける形で公開しましたのでお知らせします.

特集号Webサイト:http://team1mile.com/sjpr61-1/

巻頭言 三浦麻子・岡田謙介・清水裕士 特集号の刊行にあたって

■オープンサイエンス
三浦麻子 心理学におけるオープンサイエンス:「統計革命」のインフラストラクチャー
大向一輝 オープンサイエンスと研究データ共有

■モデリング
清水裕士 心理学におけるベイズ統計モデリング
竹澤正哲 心理学におけるモデリングの必要性
国里愛彦 臨床心理学と認知モデリング
中村國則 高次認知研究におけるベイズ的アプローチ

■仮説評価
竹林由武 しなやかな臨床試験デザイン:適応型デザインによる効率化
岡田謙介 ベイズファクターによる心理学的仮説・モデルの評価
村井潤一郎・橋本貴充 統計的仮説検定を用いる心理学研究におけるサンプルサイズ設計

■コメント
友永雅己 ベイズは苦いレモンの匂いがするか
南風原朝和 心理統計の新しい展開と今後の教育
林賢一 統計学は錬金術ではない

担当編集委員:三浦麻子(関西学院大学・大阪大学)
ゲストエディター:岡田謙介(東京大学)・清水裕士(関西学院大学)

論文掲載決定

以下の論文が,日本心理学会の機関誌『心理学研究』に掲載されることが決まりました.

田渕恵・三浦麻子 (2018). 中・高齢期の親子・夫婦における制御焦点の類似性. 心理学研究, 89(6).

【要約】
本研究では,制御焦点(Higgins, 1997, 1998)の2側面(促進・予防)が,中年期の子とその親,子の配偶者間で類似しているかどうかを検討した。中・高齢期を対象とした予備調査によりPPFS 邦訳版(尾崎・唐沢, 2011) の短縮版(10項目)を作成し,妥当性および信頼性を確認した。調査対象者は,78組の,中年期の子(49.04±4.06歳)とその親(75.89±2.74歳),子の配偶者(49.38±4.44歳)の3者であった。分析の結果,予防焦点は親子間で,促進焦点は夫婦間で類似していることが示された。中・高齢期の3者間の類似性が制御焦点の2側面で異なるという本研究の知見の背景について議論した。
キーワード 制御焦点,促進/予防焦点,中・高齢期,親子,夫婦

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本研究は,中年期の子とその親・子の配偶者というトライアドデータを用いて,制御焦点の2側面(促進・予防)の類似性について検討したものです。予防焦点は親子で,促進焦点は夫婦で類似しているという結果となりました。本研究に関する質問・コメント等,内容に関するお問い合わせは,第1著者の田渕恵にお願いいたします。

論文掲載決定

下記の論文が『社会心理学研究』に掲載されることが決まりました.

稲増一憲・三浦麻子
マスメディアへの信頼の測定におけるワーディングの影響:大規模社会調査データとWeb調査実験を用いて

マスメディアへの信頼の低下という問題は、インターネットの普及やマスメディアを攻撃することで支持を集める政治家の増加とともに国内外で注目を集めているが、日本では社会調査におけるマスメディア(テレビ・新聞・雑誌)への信頼の測定項目が調査ごとに異なっており、信頼低下についての検証は難しい。過去に行われた調査の結果を整理したところ、4件法の選択肢にどのような副詞を付すか、新聞・雑誌への信頼をまとめるか新聞単独の信頼を尋ねるか、信頼の測定対象が組織だと明示するかという3要因によって信頼の評定が大きく異なっていた。これらの差が、質問項目のワーディングが信頼の評定に影響を与えるという因果関係に基づくかを明らかにするためWeb調査を用いたランダム化比較実験を用いた検証を行った。その結果は社会調査と一貫しており、質問文と選択肢により、最大で25%以上信頼の評定が異なっていた。これは、マスメディアへの信頼の測定において、明確な理由をもってワーディングを選択することの必要性を強く示唆する。

キーワード:マスメディア、信頼、社会調査、ワーディング、Web調査実験

これまで日本で実施されてきた,サンプルの代表性が確保された大規模社会調査によるマスメディアへの信頼の測定項目は,調査間で一貫しておらず,そのことが結果に影響を及ぼしている可能性が危惧されます.それらの結果でもって「マスメディアへの信頼の時系列的変化」を論ずるときに大きな障害となるからです.しかし,こうした点が十分検討された知見は見当たりません.そこで本研究では,これまでの社会調査において用いられてきたマスメディアへの信頼の測定項目を分類・整理し,測定項目の違いが回答にもたらす影響に関する仮説を導出した上で,Web調査によるランダム化比較実験によりその検証を行いました.

著者最終稿は,ResearchGateで公開しています.内容に関する問い合わせは第一著者の稲増さんにお願いします.

関西学院大学のプレスリリースはこちらです.

大阪大学大学院基礎工学研究科の特任教授(常勤)に着任しました

2018年4月1日に,大阪大学大学院基礎工学研究科特任教授(常勤)に着任しました.

これは2014年に導入されたクロスアポイントメント制度(研究者等が,大学や公的研究機関,民間企業等の間で,それぞれと雇用契約関係を結び,各機関の責任の下で業務を行うことが可能となる仕組み)を適用し,関西学院大学と大阪大学の間で協定を締結したものです.私の場合は,関西学院大学での業務が90%,大阪大学での業務が10%となります.

大阪大学では,大学院基礎工学研究科システム創成専攻数理科学領域に所属し,「心理統計法」に関する教育研究の業務に従事します.とはいえ,研究が主たる業務になり,講義や演習を担当するわけではありません.

上記のとおり,異動ではなく(なわけがなく),2つの大学に常勤教員として勤務することになります.細かい話をすると,お給料をいただくのは関西学院大学からのみで,大阪大学が関西学院大学に「三浦の関西学院大学での10%分の給与に相当する金額を支払う」ことになります(なので,年収が下がることはありません(笑).

制度としては今まで経験したことのないもの(関西学院大学では初めての事例で,私の案件があったことで規程を作って下さいました)ですが,所属先で従事するのは20年来の知己との共同研究です.そのため,特に大きな不安はない一方で,制度を有効に活用したいけれど何をどうしたら…というのは手探りです.任期はとりあえず半年ですが,今後数年は継続すると思われるので,せっかくなら他ではできない面白いことをしてみたいと考えています.