卒論口頭試問にあたっての心構え

プレゼン時間は5分です.

  • 基本的には論文の「要約および結論」に必要な情報(調査や実験の詳細,分析結果を示す図表など)を肉付けしたものを作ると考えればよいでしょう.というか,5分に収めることを考えればそれがいっぱいいっぱいです.例えばこんなタイムラインはどうだろうか,という提案はこちらを参照して下さい.
  • 短すぎても長すぎてもよくありませんが,特に,長すぎる方がエレガントさに欠けます.4分30秒以上,5分30秒以内に話をまとめられるように,予行演習を繰り返してください.
  • まずは台本を作って,それを読み上げる練習をしましょう.しかし「読み上げているのか,話しているのか」は,聞き手にはすぐ分かります.当然「話している」方が印象はよいです.練習を繰り返せば「台本に沿いつつ,適当に話す」ことができるようになるはずです(例えば私は,今では講義でも研究発表でも台本なしに適当に話していますが(ただし日本語に限る),デビュー当時はそれなりに台本を作ったり話している様子をビデオで撮って友人たちと検討会をしたりといったトレーニングをしていました).最初から適当に,というのは,よほど話すスキルがある人でない限りはおそらく難しいでしょう.めんどくさがらずに,練習に次ぐ練習,です.
  • 質問項目や実験場面・素材や図表などで,手元に配布した方が参照しやすいものについては,印刷資料を作成してください.プレゼンスライドをそのまま配布してもよいかもしれません.ささっとごまかして終わらせてしまおう,と考えるのではなく,なるべくよく理解してもらうための工夫を惜しまないでください.5分は決して長くはありませんが,かといってささっとごまかせるほど短くもないのです.その際に想定する聴衆は,主査や副査よりもむしろ,あなたの論文内容をまったく知らないがその場にいて聴いてくださっている,他の先生方です.

 あなたのプレゼン終了後,まず,副査の先生から質問があります.

  • まずは,落ち着いて内容をよく聞き,なるべく「的を射た」かつ「簡潔な」回答を探索しましょう.頭を整理してから答え始める方がよく,そのために答え始めるのがワンテンポくらい遅れてもかまいません.何か言っておけば時間稼ぎになる,とダラダラと話し始める人がいますが,結局脱線して答になっていないようなものになることが多く,印象がよくありませんし,そもそも時間の無駄遣いです.
  • 質問者の意図がよく分からない質問も出てくるかもしれません.その場合は「ただいまのご質問は,****という意味だと考えてよいですか?」と聞き返してかまいません.単に「もう一度お願いします」とだけ言って聞き返すのはなるべく避けた方がよいですが,分からないけどとりあえず答っぽいものを言ってみる,というよりはマシです.
  • あなたがプレゼンに含めなかった論文の内容についての質問がなされる場合もあります.必ず卒論本体を手元に置き,参照しながら適切に答えられるよう努力してください.プレゼンの中に含めようと思ったが時間の制約上無理だった,というスライドは,消さずに残しておくと,こういう時に役立つ場合があります.「そういうことを質問されると思って用意してありましたよ」とそのスライドを出すと,だいぶカッコイイです.
  • あなたがおこなった研究で手がけた範囲を超えるようなことを問われる場合もあるかもしれません.その場合は「この研究で得られたデータから直接お答えすることは難しいのですが,おそらく****ではないでしょうか.なぜなら++++だからです.」というように,何がしかの推測を述べる方が,そのテーマについてよく考えているということが伝わって好ましいでしょう.

ともあれ,口頭試問では,あなたが自分自身の研究について,長所も短所もひっくるめて,すべてを理解しているかどうかが問われるのだと考えてください.あなたが自分で選んだ研究テーマを愛していれば,それができるはずです.この研究について何もかもを,この場で一番知っているのは私だ,という強い確信があれば,きっと充実したよい口頭試問になるはずです.学生生活の総仕上げですから,惜しまず全力を尽くしてください.

よく服装について質問されますが,清潔な身なりであれば「私服」でかまいません.スーツが着たい人はお好きにどうぞ.