南風原(2018)

統計の新しい展開と今後の教育

南風原朝和

【論文PDF】

この論文では,本特集号の論文の中から,検定力分析,ベイズ的仮説検定,ベイズ統計モデリングという3つのトピックを選んでコメントした。検定力分析がかかえる主要な問題は効果量の定量的評価であり,その問題は効果量の推定にも共通する。ベイズ的仮説検定は古典的な帰無仮説検定より理論的に優れている。ただし,事前分布を適切に設定することが克服すべき難点であることは変わらない。ベイズ統計モデリングは心理学研究における統計の役割を変革するもので,いろいろな側面で有望である。しかし,計算が簡単にできるようになった分,事前分布の設定を含め,モデルを注意深く構築することの必要性が見えにくくなる心配もある。最後に,この特集号で示されたように方法論の目覚ましい展開がある中での,これからの心理統計教育のあり方についてコメントした。

キーワード:検定力分析,効果量,ベイズ的仮説検定,ベイズファクター,ベイズ統計モデリング