林(2018)

統計学は錬金術ではない

林賢一

【論文PDF】

本稿では,ベイズ統計に基づく仮説の評価と統計モデリングについて,従来の統計的方法論である頻度論と対比しつつ議論する.ベイズ統計は,近年の計算機の発展と解析ソフトウェアの整備により,直感的かつ柔軟なデータ解析を可能にした.一方で,その恩恵が生じせしめうる問題を指摘する.それは,(1) これまで慎重に検討されていた統計モデルの構築や事前情報の,安易な仮定への転嫁や軽視に繋がりかねないこと,(2) 柔軟なモデリングが引き起こしうる問題が存在すること,である.ベイズ主義と頻度主義のそれぞれに適当な状況設定は存在するが,いずれに基づく研究デザイン・データ解析であっても,可能な限り仮説を数量化し,客観的に解釈可能な形で問題設定およびモデルを表現することが重要である.

キーワード:ベイズ統計,頻度論,仮説の評価,仮説検定,モデル選択,事前情報