友永(2018)

ベイズは苦いレモンの匂いがするか

友永雅己

【論文PDF】

心理学において現在巻き起こっているベイズ統計学の興隆、一ユーザーの立場からコメントする。特に、心理学が抱えている諸問題(たとえばQRPs)に端を発する帰無仮説有意検定(Null Hypothesis Significance Test、NHST)に対する切り札としてのベイズ統計学の強みが喧伝されているが、結局、大半の心理学者は統計ユーザーでしかなく、彼らにとってベイズも道具でしかない。であるならば、p値の行き着いた諸問題はベイズの前にもポステリアハッキングといった形で現れるのではないだろうか。希望は心理学のオープン化にあるのかもしれない。しかし、オープン化の柱であるオープンデータの中にも、えも言われぬ何かがくすぶっている。たとえば、データを生み出すものと使うものの間のコストの非対称性がもたらす不公平感や「フリーライダー」問題は近々噴出するかもしれない。しかし、入り口で逡巡するのではなく、その中に身を投じることが肝要なのかもしれない。

キーワード:ベイジアンモデリング、QRPs、統計革命