国里(2018)

臨床心理学と認知モデリング

国里愛彦

【論文PDF】

臨床心理学の中でも特に異常心理学では,これまで認知課題で得られた行動データに対する帰無仮説検定を用いた研究が行われてきた。本論文では,従来の研究の問題点を指摘し,精神疾患研究に計算論的アプローチを用いる利点について論じる。計算論的アプローチには,数理モデルを用いて行動データから直接観測できない潜在的なパラメータを推定する認知モデリングがある。認知モデリングを用いることで,論理的に妥当なやりかたで行動データの説明・予測が可能になり,精神疾患のアセスメントにも貢献できる可能性がある。本論文では,確率的逆転学習を例に挙げて,認知モデリングに関する推奨実践について紹介する。最後に,臨床心理学における認知モデリングを用いた研究を示し,階層ベイズ推定によるパラメータ推定,認知モデルとしての階層ベイズ推論モデルなどの今後の展開について論じた。

キーワード:計算論的臨床心理学,認知モデリング,シミュレーション,パラメータ推定,階層ベイズモデル