論文掲載決定

以下の論文が『心理学研究』に掲載されることが決まりました。

村山綾・三浦麻子 (2019). 日本語版道徳基盤尺度の妥当性の検証――イデオロギーとの関係を通して―― 心理学研究, 90(2).

本研究の目的は,5つの道徳基盤と個人との関連を測定する道徳基盤尺度(Moral Foundation Questionnaireの日本語版(金井, 2013)の妥当性の検証を行うことであった。研究1では,855名を対象として,Graham et al.(2011)の手続きを踏まえて妥当性を検討した。その結果,他のモデルよりも,5因子モデルの当てはまりが良かった。また、Ingroup, Authority, Purity得点の高さは,保守的な政治的立場と弱いながら有意な正の関連をもっていた。続く研究2では,470名を対象に再度MFQに回答を求め,再検査信頼性と,イデオロギーとの関係を通した妥当性の検証を行った。再検査信頼性についてはGraham et al. (2011)よりも低かった。イデオロギーとの関連を検討した結果,全体としてはHaidt(2012)の理論に沿う結果が得られたが、Purityとリベラル的イデオロギーの主張が正の関連を示すなど,一部一貫しない結果も得られた。日本語版尺度の利用に際して留意すべき点について論じた。

日本語版MFQは様々な研究で使われていますが,おそらくGrahamらの手続きに極力沿う形で妥当性を検証した論文はこれが最初だと思われます。論文はJ-STAGEで早期公開されています。