招待講演「人を対象とする行動学研究における再現性問題」

2018年9月15日に電気通信大学で行われた情報処理学会エンタテインメント・コンピューティング(EC)2018で「人を対象とする行動学研究における再現性問題」と題した招待講演を行いました.当日の資料はここから閲覧・ダウンロード可能です.お招き下さり,どうもありがとうございました.

概要

ありとあらゆる科学(を標榜する学問)にとって,ある知見が信頼に足るものかどうかを確認するもっとも有力な手段は,一度得られた実験結果についてそれが再現できるかどうかを検証することである.こうした科学の再現性問題は,2014年初頭以来世間を騒がせていた「STAP細胞問題」によって,決して望ましい形だったとは言えないが,一般にも広く知られることとなった.心理学においても,これと同じ時期に,研究の信頼性の著しい低下につながるような,あるいはそれを疑わせるような出来事が相次いで起きたが,その原因の少なからぬ部分は,研究者たちが再現性検証の試みを軽視してきたことにあるとされた.本講演では,心理学のような人を対象とした行動学研究において,研究プロセスそのものに内在するものも含めた再現性を低からしめる問題としてどんなものがあるかを述べ,それらを解消するために現に行われている取り組みについて紹介する.

 

刑事裁判に意見書を提出しました

2005年~11年にかけて兵庫県尼崎市で起こった連続変死事件で,3件の殺人と1件の傷害致死を含む10件の罪に問われた李正則氏の最高裁上告審において,弁護側意見書を提出しました.李正則氏ご本人の許可を得て,その内容をここに公開します.

李正則氏の行為に関する意見書

この意見書は,李正則氏が犯罪行為の当時に置かれていた,角田美代子を頂点とするコミュニティが持つ状況的特徴に注目し,こうした状況が人を,時にきわめてネガティブな行為にすら着手させる方向に動かす「力」について,社会心理学的見地から考察することを試みたものです.

こうした仕事は,社会心理学を研究するものの社会貢献としてとても重要なことだと考えています.依頼元である石橋有悟弁護士と下村大気弁護士,そして本件をお引き受けするに際してアドバイスを下さった西田公昭先生(立正大学)と戸谷嘉秀弁護士に心から感謝します.

当該上告は2018年3月6日付で棄却されました.