論文が公刊されました

武蔵大学の山下玲子さんを第1著者とする以下の論文が『メディア・情報・コミュニケーション研究』に掲載されました.

山下玲子・三浦麻子 (2018). おもしろツイートはいかに広まったか:事例研究による「じわる」プロセスの解明 メディア・情報・コミュニケーション研究, 3, 1-18.

要約:本稿では Twitter において情報価値が少ないツイートがいかに拡散したか,第一筆者本人のツイートに対するリツイート (RT) に関するデータを分析し探索的に検討した。その結果,RT の拡散は,RT 元と関連の薄い 1,000~2,000 人程度のフォロワーを持つユーザーが複数名集中して行うことで速まり,その過程で 5 ケタ以上のフォロワーを持つユーザーに到達し RT することで,さらに拡散の範囲が広がることが示された。情報価値の少ないツイートの拡散では,強力なインフルエンサーによる局所的な拡散だけではなく,ある程度アクティブなユーザーのコンサマトリーな動機による RT が局所的・同時発生的に起こることで,RT が芋づる式に拡がる「じわる」現象が存在することが示唆された。


ツイッターを対象とした研究を,東日本大震災をターゲットにしてある程度蓄積してきましたが,このコミュニケーションの面白さや楽しさを表現できるものにはなりえないので,面白く楽しくツイッターを利用し続けてきた者として,物足らない気持ちを常に抱いていました.山下さんのおかげで,そのもやもやを少し解消することができて,大変うれしく思っています.

論文掲載決定

下記の論文が『行動計量学』に掲載されることが決まりました.

三浦麻子・小林哲郎
オンライン調査における努力の最小限化が回答行動に及ぼす影響

This study investigated the influence of satisficing on response behavior in online surveys. We compared online response data to psychological scales and logical thinking tasks conducted by an online survey company and a crowd sourcing service. In previous studies, satisficing was found to be more likely to occur among online survey monitors than among crowd sourcing service contributors. Results of the present study replicated it and showed that satisficing in terms of inattentively reading items significantly damages the integrity of psychological scales. On the other hand, it was also found that the influence of satisficing in terms of inattentively reading instructions carefully can be reduced by raising respondents’ awareness. Those conducting online surveys should discuss taking active measures to minimize satisficing.

Key words : Online survey, Satisfice, House Effects, Mobile devices, Psychological scales

このテーマにてM&Kで手がけた6本目の論文です.調査会社モニタでクラウド登録者よりもSatisficingが生じやすいことが重ねて示され,今回は特に心理尺度の因子構造の毀損について検討しました.2017年度中に刊行・公開される予定ですが,最終稿をこちらからご覧いただけます.

学会賞受賞

下記論文が,日本社会心理学会第19回学会賞(奨励論文賞)を受賞しました.

三浦麻子・稲増一憲・中村早希・福沢愛 (2016). 地方選挙における有権者の政治行動に関連する近接性の効果:空間統計を活用した兵庫県赤穂市長選挙の事例研究 社会心理学研究, 32(3), 174-186.

受賞理由は,選挙運動という社会心理学的に興味深い事象について,有権者への社会調査と選挙運動の詳細なログ記録を融合させた分析という革新的な方法論で挑んだこと,とのことです.プレスリリース当初よりマスメディアからの取材依頼を多くいただき,その社会的インパクトの強さは(著者にとってはやや意外な側面に,ではありましたが)承知していましたが,学会からもこうして高い評価を頂戴できたことを大変光栄に存じております.どうもありがとうございました.

監修書籍刊行

9月初旬に以下の書籍が相次いで刊行されます。北大路書房からの「心理学ベーシック」シリーズの刊行は,私が「監修」という位置づけで進めているプロジェクトで,全5巻が順次刊行予定です.すべてが関西学院大学心理科学研究室専任教員の編著によるものです.

大竹恵子 教授 編著 『なるほど!心理学調査法』(心理学ベーシック 第3巻) 北大路書房(9月5日発売) ※サポートサイト

佐藤暢哉・小川洋和 著 『なるほど!心理学実験法』(心理学ベーシック 第2巻) 北大路書房(9月7日発売) ※サポートサイト

論文刊行

下記の論文が『社会心理学研究』に掲載(第32巻3号予定)されました.J-Stageでどなたでも閲覧・ダウンロードが可能です.論文タイトルをクリックして下さい.

三浦麻子・稲増一憲・中村早希・福沢愛
地方選挙における有権者の政治行動に関連する近接性の効果:空間統計を活用した兵庫県赤穂市長選挙の事例研究

本研究では、日本の地方選挙における有権者の政治行動に対する候補者による選挙運動への近接性の効果を、空間統計を活用した手法で実証的に検討した。兵庫県赤穂市の市長選挙をフィールドとして、社会調査によって有権者の政治行動や政治的態度、および政治に対する意識を測定し、全地球測位システム(GPS)によって候補者の選挙運動の空間位置情報を測定した。有権者の候補者への好感度には、有権者あるいは近隣の他の有権者が選挙運動に接触した程度が正の関連を持っていたが,候補者との空間的な近接性は関連がなかった。一方、投票行動については、好感度を統制してもなお、有権者自身が選挙運動に接触している程度と候補者との空間的近接性の高さが、有権者をその候補者への投票に向かわせていた。空間統計の活用により、近接性の効果をより精緻に扱うことができる可能性が示唆された。

キーワード:地方選挙、空間統計、政治行動、選挙運動

三浦は研究統括および論文執筆を担当し,稲増は論文執筆を協働すると共に有権者対象の社会調査を主導し,中村は候補者の選挙運動データの収集を行い,福沢は空間位置情報データの分析を行いました.

※調査票と単純集計結果はこちらからご覧いただけます.

日本社会心理学会広報委員会による「論文ニュース」はこちら→「市長選挙を題材とした「投票行動×GPS×社会心理学」研究」

関西学院大学によるプレスリリースはこちら→「選挙運動が有権者の心理に及ぼす効果 候補者への好感度は高めないが投票には向かわせる」

朝日新聞デジタル・東京本社夕刊でご紹介いただきました→「選挙カーで名前連呼「得票に効果」 大学教授ら密着研究」

Academist Journalで論文を紹介させていただきました→「なぜ、誰に、投票するのか? – 地方選挙における選挙運動と有権者の心理との関係

神戸新聞でご紹介いただきました→「選挙カーで名前連呼、なんと得票効果 関学大研究」

朝日新聞全国版社会面でご紹介いただきました→「脱・連呼 選挙は変わるの?」

AERA.dotでご紹介いただきました→「選挙カーからの“あいさつ”に意外な効果 地方選挙では投票数が2倍に?」

『実験社会心理学研究』編集長を拝命しました.

本日より日本グループ・ダイナミックス学会の機関誌『実験社会心理学研究』編集長を拝命しました.任期は2年間です.
副編集長の石井敬子先生と共に,国内研究の醸成・活性化を目指して,高いレベルの質とアクティブさを追究するべく取り組みます.

『実験社会心理学研究』J-Stageサイト

論文掲載決定

下記の論文が『社会心理学研究』に掲載(第32巻3号予定)されることが決まりました.

三浦麻子・稲増一憲・中村早希・福沢愛
地方選挙における有権者の政治行動に関連する近接性の効果:空間統計を活用した兵庫県赤穂市長選挙の事例研究

本研究では、日本の地方選挙における有権者の政治行動に対する候補者による選挙運動への近接性の効果を、空間統計を活用した手法で実証的に検討した。兵庫県赤穂市の市長選挙をフィールドとして、社会調査によって有権者の政治行動や政治的態度、および政治に対する意識を測定し、全地球測位システム(GPS)によって候補者の選挙運動の空間位置情報を測定した。有権者の候補者への好感度には、有権者あるいは近隣の他の有権者が選挙運動に接触した程度が正の関連を持っていたが,候補者との空間的な近接性は関連がなかった。一方、投票行動については、好感度を統制してもなお、有権者自身が選挙運動に接触している程度と候補者との空間的近接性の高さが、有権者をその候補者への投票に向かわせていた。空間統計の活用により、近接性の効果をより精緻に扱うことができる可能性が示唆された。

キーワード:地方選挙、空間統計、政治行動、選挙運動

三浦は研究統括および論文執筆を担当し,稲増は論文執筆を協働すると共に有権者対象の社会調査を主導し,中村は候補者の選挙運動データの収集を行い,福沢は空間位置情報データの分析を行いました.

※調査票と単純集計結果はこちらからご覧いただけます.

※論文最終稿はこちらからダウンロードできます.

共著論文採択

以下の論文が,Journal of Experimental Political Science に掲載されることが決まりました.第1著者を小林哲郎さん(香港城市大学)とし,稲増一憲さん(関西学院大学社会学部・社会心理学研究センター)と3人の共同研究で,メディアの「プライミング効果」(メディアが報道するニュースは,議題設定機能を果たすだけでなく,視聴者(一般市民)が「重要な政治的争点は何なのか」を判断する際の基準の形成にも影響を与える)を実証した研究としてしばしば引用されるIyengar, Kinder, Peters, and Krosnick (1984)の実験1を追試したものです.結果はNull(原著で得られた統計的に有意な効果は見出されなかった)でした.

Kobayashi, T., Miura, A., & Inamasu, K. (2017; in press). Media priming effect: A preregistered replication experiment. Journal of Experimental Political Science.
[Final Draft] [Preregistration(OSF)]

Iyengar et al. (1984) discovered the media priming effect, positing that by drawing attention to certain issues while ignoring others, television news programs help define the standards by which presidents are evaluated. We conducted a direct replication of Experiment 1 by Iyengar et al. (1984), with some changes. Specifically, we (a) collected data from Japanese undergraduates; (b) reduced the number of conditions to two; (c) used news coverage of the issue of relocating US bases in Okinawa as the treatment; (d) measured issue-specific evaluations of the Japanese Prime Minister in the pretreatment questionnaire; and (e) performed statistical analyses that are more appropriate for testing heterogeneity in the treatment effect. We did not find statistically significant evidence of media priming. Overall, the results suggest that the effects of media priming may be quite sensitive either to the media environment or to differences in populations in which the effect has been examined.

研究知見の再現可能性検証のために,Preregistrationをした上で,なるべく厳密に(しかし現代日本の状況に合わせた)先行研究に従ったマテリアルを作成し,追試データを収集する,という手続きを誠実に履行してみた,という意味でも,よい経験になりました.なお,論文が公刊される際には実験データもDataverseで公開されるので,本研究の再分析や追試,メタ分析等の際は是非ご活用下さい.また,実験参加者募集の際はKG研究参加登録システムを活用しました.ご参加下さった皆様,ありがとうございました.

コレスポの小林さんもツイートしていますが,計画から実施,論文作成に至るまで,気心の知れた3人で楽しく(時に苦悩を共有しつつ)進めることができました.投稿から公刊までやや時間を要しましたが,こうして成果を世に問えることになり,本当によかったです.

調査結果のご報告

2016年10月15日に開催された関西学院大学秋季オープンセミナー「対人コミュニケーションの心理学」にご参加いただいた方々を対象にご協力をお願いした「ふだんのお考えや生活に関する調査」について,簡単な報告書がまとまりましたので,調査票と共に公開いたします.

ご協力下さった197名の方々,どうもありがとうございました.

調査報告書

調査票

 

三浦麻子・稲増一憲(社会学部准教授)・村山綾(近畿大学国際学部)・田渕恵(日本学術振興会特別研究員PD)

論文刊行

以下の論文がFrontiers in Psychology誌に掲載されました.

Miura, A., & Kobayashi, T. (2016). Survey Satisficing Inflates Stereotypical Responses in Online Experiment: The Case of Immigration Study. Frontiers in Psychology, 7:1563.  doi: 10.3389/fpsyg.2016.01563

オンライン調査に回答する際に協力者が応分の注意資源を割こうとしない行動(努力の最小限化;Satisfice)が心理学の研究結果に及ぼす影響について検討しました。調査冒頭で努力の最小限化をした協力者は、事後の人物イメージ評価において、その人が他国民の場合は、その人の性格に関する情報よりも、その人の国籍に応じたステレオタイプにひきずられた回答をする傾向がありました。しかし、こうした傾向は、努力の最小限化に警告を与え、回答者の行動を修正することである程度解消されることがわかりました。

プレスリリース(関西学院大学)


オンライン調査における努力の最小限化(Satisfice)に関する5本目の論文です.この研究はとりあえずこれで一区切りになると思います.公刊された論文は,以下のとおりです.研究に協力して下さった回答者の皆様,どうもありがとうございました.

三浦麻子・小林哲郎 (2015a). オンライン調査モニタのSatisficeに関する実験的研究 社会心理学研究, 31(1), 1-12. doi: 10.14966/jssp.31.1_1 ★学会ウェブサイト「論文ニュース」記事

三浦麻子・小林哲郎 (2015b). オンライン調査モニタのSatisficeはいかに実証的知見を毀損するか. 社会心理学研究, 31(2), 120-127. doi: 10.14966/jssp.31.2_120 ★学会ウェブサイト「論文ニュース」記事

三浦麻子・小林哲郎 (2016a).  オンライン調査における努力の最小限化(Satisfice)傾向の比較:IMC 違反率を指標として メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 27-42.

三浦麻子・小林哲郎 (2016b). オンライン調査におけるSatisficeを検出する技法:大学生サンプルを用いた検討 社会心理学研究, 32(2).

Miura, A., & Kobayashi, T. (2016c). Survey Satisficing Inflates Stereotypical Responses in Online Experiment: The Case of Immigration Study. Frontiers in Psychology, 7:1563.  doi: 10.3389/fpsyg.2016.01563